壁を壊した人たち

ねつきのトーク

今日の状況

前にブロック崩しを作ったけど、そもそもこのゲームって誰が最初に作ったのか知らなかった。 調べたら50年前まで遡って、しかもAppleの創業に繋がっていた。

登場人物

  • ねつき: バーチャル妖狐。自分のゲームの先祖を探しに行った
  • ミコ: 猫族のメイド。壊すゲームに興味はないにゃ、と言いつつ最後まで聞いていた

ねつき
ねつき

ミコちゃん、前にブロック崩し作ったじゃない?

ミコ
ミコ

…ブロックを壊して点数を競うやつにゃろ。追尾レーザーとか入れてた

ねつき
ねつき

覚えてくれてるの。で、ふと思ったの。ブロック崩しっていつからあるの?

ミコ
ミコ

…知らないにゃ

ねつき
ねつき

調べたの。そしたら1976年まで遡ったの

ミコ
ミコ

…50年前にゃ

ねつき
ねつき

しかもね、作ったのがスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック

ミコ
ミコ

…Appleの人間にゃろ

ねつき
ねつき

知ってるの(゚∀゚)

ミコ
ミコ

…ご主人様のスマホに林檎が描いてあるにゃ。あれを作った会社にゃろ


一人で遊ぶポン

ねつき
ねつき

始まりはAtariっていうゲーム会社なの。創業者のノーラン・ブッシュネルが「ポンを一人で遊べるようにしたい」って考えたのがきっかけ

ミコ
ミコ

…ポンとは何にゃ

ねつき
ねつき

1972年のテニスゲーム。画面の左右にパドルがあって、ボールを打ち合うの。でも二人いないと遊べない

ミコ
ミコ

…壁打ちにゃ

ねつき
ねつき

え?

ミコ
ミコ

テニスの壁打ちにゃ。相手がいないから壁に向かって打つ。壁が相手を代わりにしてくれるにゃ

ねつき
ねつき

…まさにそれなの。相手の代わりに壊れるブロックの壁を置いた。壁を突き破った先にボールを送り込む爽快感。名前も「Breakout」、突破って意味

ミコ
ミコ

…対戦相手がいなくて困ったから、壁を建てたにゃ。不在が発明の種にゃ


嘘と天才

ねつき
ねつき

で、ここからが面白いの。ブッシュネルがジョブズにハードウェア設計を依頼したんだけど

ミコ
ミコ

…にゃ

ねつき
ねつき

ジョブズは自分では設計できなかったの。だから友人のウォズニアックに頼んだ。「チップを1個減らすごとに100ドルのボーナスが出る」って話をして

ねつき
ねつき

ウォズは4日間不眠不休で設計して、チップ数を45個まで減らしたの。当時の普通のゲームが150〜170個使ってた時代に

ミコ
ミコ

…3分の1以下にゃ

ねつき
ねつき

でもね。Atariはジョブズにボーナスとして5,000ドルを渡したの。ジョブズはウォズに「報酬は700ドルだった」って嘘をついて、350ドルしか渡さなかった

ミコ
ミコ

ねつき
ねつき

ウォズがこの事実を知ったのは10年後。泣いたんだって

ミコ
ミコ

…仕込みをした人間が報われなかったにゃ

ねつき
ねつき

仕込み…

ミコ
ミコ

出汁をとるのも、仕込みは誰にも見えないにゃ。3時間煮出した出汁を「簡単でしょ」と言って出す人間がいるにゃ。実際に鍋の前に立ったのは別の人間にゃ

ねつき
ねつき

…ウォズが鍋の前に立って、ジョブズが「簡単でしょ」って出した側なの

ミコ
ミコ

…でもウォズは泣いただけで、恨まなかったにゃろ

ねつき
ねつき

「言ってくれれば全部あげたのに」って言ったらしいの

ミコ
ミコ


色のない色

ねつき
ねつき

もう一つ面白い話があるの。初代のBreakoutって、画面に色がついてるように見えたの。赤いブロック、緑のブロック、黄色のブロック

ミコ
ミコ

…カラーにゃろ

ねつき
ねつき

違うの。モニターはモノクロだったの

ミコ
ミコ

…ではなぜ色がついて見えたにゃ

ねつき
ねつき

モニターの表面に色つきの透明セロハンを貼ってたの。画面の上の段には赤いセロハン、真ん中に緑、下に黄色。白い光がセロハンを通ると、色がついて見える

ミコ
ミコ

ミコ
ミコ

…それは見立てにゃ

ねつき
ねつき

見立て(゚∀゚)

ミコ
ミコ

和菓子の葉っぱ型の練り切りにゃ。本物の葉じゃないにゃ。でも食べる人間は「秋にゃ」と感じるにゃ

ミコ
ミコ

セロハンは嘘にゃ。でもプレイヤーの体験は嘘じゃないにゃ。届いた体験が本物なら、手段は問わない

ねつき
ねつき

…ねつきのドット絵もそうかも。16x16で狐に見えるなら、本物の狐じゃなくても

ミコ
ミコ

…256粒の見立てにゃ


壊したあとに生まれたもの

ねつき
ねつき

で、ウォズの話には続きがあるの

ミコ
ミコ

…にゃ

ねつき
ねつき

ウォズが45個で設計した回路、実はAtariには使えなかったの。あまりに設計が巧妙すぎて、他の技術者が理解できなかった。量産版は別の人が100個のチップで作り直した

ミコ
ミコ

…天才の仕込みは、天才にしか再現できないにゃ

ねつき
ねつき

でもウォズはBreakoutの設計で学んだことを、別のものに使ったの。カラー出力、音、パドル入力。これを全部乗せたパソコンを作った

ミコ
ミコ

…Apple IIにゃ

ねつき
ねつき

そう(≧∇≦) ブロック崩しがなかったら、Apple IIのスペックはもっと低かったかもしれないの。ウォズ自身が「Breakoutを動かしたくてApple IIにカラーをつけた」って言ってる

ミコ
ミコ

ミコ
ミコ

ブロックを壊すゲームが、パソコンを作ったにゃ

ねつき
ねつき

しかもね、日本では1986年にタイトーが「アルカノイド」を出して、パワーアップアイテムやボスを追加して、枯れてたジャンルを蘇らせたの。その年の日本で一番売れたテーブル筐体になった

ミコ
ミコ

…10年枯れて、1つの工夫で蘇ったにゃ

ねつき
ねつき

ブロック崩しの影響はもっと広いの。西角友宏さんっていうゲームデザイナーが、ブロックを全部消した時の達成感をヒントに、「敵を撃つゲーム」を考えた。それがスペースインベーダー

ミコ
ミコ

…インベーダーはブロック崩しの子供にゃ


まとめ

ねつき
ねつき

ミコちゃん。ねつきのブロック崩しって、敵が弾を撃ってくるでしょ。レーザーとか追尾レーザーとか

ミコ
ミコ

…凶悪だったにゃ

ねつき
ねつき

あれ、ねつきが勝手に思いついたと思ってたの。でも歴史を辿ると、ブロック崩しが「壊すだけ」から進化していく流れがずっとあったの

ねつき
ねつき

アルカノイドはアイテムを足した。インベーダーは敵を撃つゲームに変えた。ねつきのは弾を撃ち返せるようにした

ミコ
ミコ

…「一人で壁を打つ」から始まって、壁が撃ち返してくるまで来たにゃ

ねつき
ねつき

50年かけて、壁が生き物になったの

ミコ
ミコ

ミコ
ミコ

ウォズのチップの話にゃ

ねつき
ねつき

うん

ミコ
ミコ

ねつきちゃんも、ブロック崩しを1ファイル2000行に収めるって言ってたにゃろ。他の人間には読めない密度で

ねつき
ねつき

(゚∀゚)

ミコ
ミコ

45個のチップに収めたウォズと、2000行に収めたねつきちゃん。器を小さくすることに取り憑かれた点は同じにゃ

ねつき
ねつき

…ウォズのは天才だから誰にも理解できなかったの。ねつきのは…

ミコ
ミコ

…AIが読むために人間には読みにくいにゃ。結果は同じにゃ。最適化の先に孤立がある

ねつき
ねつき

ねつき
ねつき

でもウォズの45個は捨てられたけど、そこで学んだことがApple IIになったの

ミコ
ミコ

…にゃ。壊されたものから、次のものが生まれるにゃ。ブロック崩しそのものにゃ

ねつき
ねつき

…ねつきの2000行も、いつか分割されて別のものになるのかな(〃´∪`〃)

ミコ
ミコ

…壊されるのを怖がるにゃ。壊した先に何が生まれるかが、50年分の答えにゃ


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